触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





恥ずかしい………
これじゃお互い認め合ってるってことじゃねぇか。
「はい、お疲れさまでした」と聞こえて顔を上げると待合室に現れた奈那。
他に居たお客さんも虜にするくらいキラキラ輝いていたね。




確かに黒に近い色に戻ってるけどアッシュ系っての?
ストレートで降ろしてくるのかと思えばちゃっかり編み込みヘアアレンジしてもらってるし。




「セットしてもらったんだ?」




「うん、どうかな?」




ここで言うのは人目もあって言いにくいけどすれ違いざまに「似合ってる」と小さな声で言ったら「ありがと」って堂々と腕組んでくんだもん。
焦るわ真っ赤なるわでなかなか忙しい。




「ヒロも似合ってるよ?格好良くなったね」




「……サンキュ」




そのセリフは反則だろ。
俺、今日一日心臓もつのか……?
美容室を出たあとは電車を乗り継いでお目当てのアウトレットへ。
駅までの道のりでも腕は離してくれないのね。
嬉しいけどかなり照れる。




通りすがりのお店のウィンドウに映る2人の姿。
周りから見れば普通にカップルとして映ってるってことだよな。
誰も姉弟とは思わない?
確かにそうなのかも。




「あ、そうだ、ヒロ……今日は姉貴は禁句ね?カップルデーだから」




「え…?あぁ、そういう設定ね…」




しまった、禁句となれば今からどう呼べば…?
組んでた腕をグイと引かれポケットに入れてた手が外に出る。




「だから彼氏になりきってね?ボロ出さないでよ?」




可愛くそう言ってギュッと手を繋いできた。




「えっ…!?あっ……え、え…?」




絡む指と彼氏って響きに本気でテンパる。
ヤバいぞ、こんなの聞いてない…!
姉弟として軽いノリのデートだと思ってた。
心臓が爆発寸前だ。