触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





「でもあんな綺麗と可愛いを併せ持ったお姉さん持つとモテて大変じゃない?本人はモテないって言うけど絶対ウソでしょ?」




「あ〜かなりモテてますね、弟が言うのも何ですが…」




「やっぱり〜!」




素早くハサミを滑らせていく。
話してても目つきは真剣だ。
奈那についてるアシスタントに細かく伝えながらカットを優先してくれる。




ブラコンって……ハハハ。
自覚あるんだ?
俺も相当なシスコンだけどな。
自覚ありながら止めないっていうあざとさ……お互いね。




さっきチラッと見えたけど、
奈那についてるアシスタント2人、
楽しそうに話してるのは客商売だから仕方ないとは言え、どちらも爽やかイケメンじゃん。
時々聞こえてくる奈那の笑い声が気になる。




「彼女出来たらやっぱりお姉さんに紹介するの〜?」




不意打ちにまどかさんが質問してくるからハッとする。




「彼女っすか……出来たらいいですけどね」




「大丈夫、モテるようにしてあげるからね!」




わ、ウィンクされちゃった。
それは有り難いし心強い。
野暮ったさがどんどん抜けてって
あっという間にカット終了。
仕上げワックスでセットされたら
自分でも恥ずかしいくらいイケて…ます。




「お姉さんもう少しかかるから待っててくださいね〜」




待合室も広くてゆったり寛げる。
クリ○ラ設置でホットコーヒー飲めるのはポイント高し。
雑誌でも呼んでいよう。
ソファーに座ったら、シャンプーを終えて席移動したのか結構近い場所で奈那とまどかさんの会話が聞こえてきて思わず聞き耳を立ててしまう。




「もう弟さん終わられてますよ〜」




「格好良くなりました?」




「それは見てからのお楽しみということで」




「まどかさんの腕信じてるから楽しみだなぁ」




おいおい、そんなふうに言われたら俺もまどかさんもプレッシャー感半端ないじゃんか。
前に出るの躊躇うわ。