「とにかくこれからイチャイチャ作戦でいくから。奈那先輩の本音を探る為にね」




2人して遠くの奈那を見る。
楽しそうに話してバイバイしたからホッとした。
同時に桜井さんはまた俺の腕に絡ませ歩き出す。




「あの…!何でそこまでして俺に協力してくれるの?俺の気持ち知った上で……何か申し訳ないよ」




「勘違いしないでよね?ここからは私の独りよがりだから……本当はヒロくんが玉砕するのを見届けるつもり」




え……?そうなんだ。
そこハッキリ言っちゃうんだ。




「裏でコソコソとか頭の使う駆け引きとか私には向いてないから」




だろうね。
少しだけ接してみて何となくわかる気がする。




「好きだってことはアピールしつつ、真っ向から勝負したくなったのよ」





奈那と!?
もしかして、俺は今……
俗に言う………




「モテ期だとか勘違いしないでよ?言っとくけど私以外にモテてる試しないからね?」




「じゃあ相当な物好きだ?桜井さんは」




自虐的に笑ったのに桜井さんは急に赤くなる。
こういう時の対処法を勉強しなきゃならない。




「そのさ、桜井さんっていうのそろそろやめない?」




「じょ、女子を下の名前で呼んだことないし……無理だよっ」




「え〜?ひよりでいいのにぃ」




「無理無理無理…!」




呼んでる自分を想像して吐きそうだ。
しかも奈那にだって心の中でしか呼んでないし。
声に出して呼ぶとか俺にはハードルが高すぎる…!!




「じゃあさ、付き合えたら呼んでくれる?」




「えっ…!?」




付き合うことなんて……あるのか?
真っ直ぐ桜井さんを見る。




「お、真面目に私のこと考えてくれてる?」




「つ、付き合えたらね!」