学校に着くと桜井さんが駆け寄って来た。
奈那とも顔見知りだから普通に挨拶してる。
そして、朝から注目の的だということはすぐに察知の身。
この冴えない俺が両手に花……もとい、
両側に美女……だもんな。
奈那とは姉弟だから仕方なくとも、何で学年一モテてると噂の桜井さんが俺の隣に居るのか。
“私が納得するまで隙あらば奪いに行くからね”って言われたんだった。
こんな美女にどの面下げて言わせてんだよ、全く。
どっちにしろ他の野郎からは袋叩きなことは間違いないな。
桜井さんの方からギュッて腕組んでくるからびっくりした。
奈那に気付かれないよう手を離そうとしたけど耳元で言われる。
「ヤキモチ妬かせりゃいいじゃん」
そんなこと言われたって………
変な誤解されるの嫌なんだよ。
マスク越しにキスしたこと……絶対誰にも言えない……2人だけの秘密だから。
その時の気持ちはブレたくないのに。
「姉貴は妬かないよ」
それは俺が一番よく知ってる。
そこだけはもう期待しないって決めたんだ。
それって振り回されてると思う?
俺はギリギリのラインで弄ばれてんの。
いわゆる疑似恋愛……みたいな?
とんだシスコンだって桜井さんもわかれば自ずと去っていくだろうし。
だって俺、惚れてる方だから。
つい従っちゃうの。
バカみたいに。
あの目に……あの声に……一生抗えない気がする。
「あの、2人はやっぱ付き合ってるの?」
腕を組んだところをバッチリ見られて
「付き合ってないよ…!」
「付き合いたいです…!」
同時に言って完全に被ったから何言ってんのかわかんなくなってお互い「え?」ってなった。

