身体を離し顔を覗き込んだら耳まで真っ赤な奈那の目が潤んでる。
え、何だよコレ。
「ごめん、ごめん」っておどけてくれるんじゃないのかよ。
見たことのないリアクションに戸惑う。
俯いて目を逸らした奈那は慌てて立ち上がる。
「わ、ごめん寝ぼけてた……おやすみ!」
階段を登って最初の部屋が奈那の部屋。
ドアノブに触れる前に「姉貴っ…」と手を掴んだ。
あんな顔見せといて逃げるの?
振り向いた顔はやっぱり真っ赤なままで。
だから意地悪したくなる。
両手で頬を包み顔全体を見渡す。
完全に意識してる態度。
「よし、顔はケガしてないな?身体は?足は?痛むとこないか?」
「うん……大丈夫」
「そっか、ちゃんと布団被って寝ろよ?おやすみ」
腰から引き寄せ額にかかる前髪へキスを落とした。
隣の自分の部屋に入り、ゆっくりドアを閉めた。
少ししてから部屋に入った音がして、意味もなく間の壁を見つめてしまう。
頼むから、今夜は眠りにつくまで俺を意識してくれ。
今だけは頭の中、俺でいっぱいになってくれよ。
明日にはケロッとしてくれてていいからさ。
俺を想ってドキドキしていてほしい。
ほんの少し、爪痕残すだけだから。
俺にだってプライドはあるんだよ。
弟じゃなく男として見てくれとかわかりきった困らせ方しちゃうんだろうけど、精一杯の勇気振り絞ったんだってこと……頭の隅に置いててほしい。
ほんと、バカな弟でごめん………

