マスクをしてベットのすぐ傍に座る。
「………勉強?」
「うん……静かにしてるから少し寝なよ」
「何勉強するの?」
「初日は物理だから」
教科書を見せてパラパラとめくる。
こうして何かを頭に叩き込んでいないとどうにかなりそうなんだよ。
ていうかさっきより視線感じるんだけど…?
寝ろって言ったのに。
ベットに背を向けてもたれた。
これなら視線は合わない。
嫌でも寝てくれるだろ。
そう思ったのにそっと華奢な手は俺の首にまとわりつく。
「わっ…!」
ベットの方に引き寄せられて肩のすぐ後ろに奈那の顔が。
目は合わないけど距離が近過ぎる…!
これじゃ全然集中出来ない…!
ていうかこれ、バックハグだよね!?
手を離してくれる気配ないんだけど!?
「姉貴…?勉強出来ないよ、これじゃ」
「ん……だってこっち向いてくれないんだもん」
嗚呼、だからそういうこと弱ってる時に言うなよ。
いちいち反応しちゃうんだよ、こっちは。
バクバクしてる心臓どうすんだよ。
思わせぶり過ぎんだろ………
「そっち向いたら寝てくれるの?」
「ん………」
軽く深呼吸して振り返ったらまだ熱っぽい目で簡単に俺を射抜いてく。
布団から手を出して鼻声で甘えてくるんだ。
「手……握ってて?」
マジかよ……
マスクしてて助かった。
赤くなってるのバレてないよな?
これは熱のせいだ。
奈那は熱に弱くて、一度かかっちゃうと異常に甘える体質なんだ。
そう言い聞かせて優しく握りしめた。
普通に手を繋いだのに熱に侵された手は指の間に滑らせて絡みとる。
こ、恋人繋ぎっ!?
いちいち反応してるのがバレると恥ずかしいから、何でもないフリをしてあぐらの上の教科書をめくった。

