手を繋いでる方でもそのまま抓ってやった。




「ヒロが妬いてる〜」




「当たり前でしょ」




フフン…と笑いながら引っ付いてくるのはズルいぞ。
電車に乗ってもくっついたまま肩に頭乗せてくるし。
座席が皆前向いてるからまだマシだけど色々と制御しなきゃだからソワソワ落ち着かない。




「ヒロの嫉妬とか大好物なんだけど?」




「うん…わかってる」




顔が近いよ……その距離で見上げないで。
良い匂いしかしねぇ…!!
腕絡めるから柔らかいお胸も当たってます。
結構、キツい状況…ですね。




「怒ってるヒロ可愛い」




ほっぺツンツンしないで。
今そっち見れないから。
周りに人は居ないけど何か気になってしまって目だけが泳ぐ。




「怒ってるし拗ねるよ?」




顔を見ずに言ったのに簡単に顎クイしちゃうんだもん。




「それ、もっと好物…」




チュッて触れるだけのキス。
全く、場所なんて選ばない。
したい時にする感じ。
全ての主導権を握る奈那に翻弄されるのが俺の役目で…抗うつもりもない。




結局従ってる……許しちゃう。
あわよくば、もっと欲しくなってる。
奈那のキスは媚薬だ。
そんなちょっとじゃ物足りないよ。




「まだ欲しい顔してる……でも終わり」




お預けの仕方やタイミングも秀逸。
そうなるとこっちがワガママ言いたくなるんだよね。




「もう1回だけ、お願い」




「ダメだよ」




場所わきまえてってどの口が言うの!?
自分は良くて俺はダメだなんてあんまりだ。
本気で拗ねるぞ!?




腕から離れるからチラッとそっちを見たら景色見ちゃってるし。
窓の方にもたれて頬杖とか寂しくなるじゃんか。
意地悪しないでよ。




そっと手が伸びて顎クイのお返し。
驚いた様子の奈那にキスしたらすぐに離れた。




「怒ってもいいもん、俺だって…する時はするもん」




ちょっと強気で出てみた。
目は合わせられないけど……シカトはしないで。
もう一度勇気を出して見てみたら頬杖ついたままこっちをガン見してる…!
ヤバっ…!やっぱ怒らないで…!