触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





途中で確認したらやっぱりついてきてるっぽい。
本物の奈那が現れたら…?
俺が彼氏だってわかってもらえる…?
二度と声かけないでもらえるかな…?




寮の前に着いたら電話する。
颯爽と降りてきた奈那の姿に度肝を抜かれたであろう。
笑顔いっぱいで駆け寄って来てくれる。
生理なのにごめんね?と心の中で謝った。




「渡し忘れって何…?」




ニコニコしながら聞いてくるんだもん。
思わず抱きしめちゃうよね。
ま、見せつけでもあるけど。




「ごめん、帰り途中で奈那のこと噂してる野郎たちが居たからムカついて…」




「え、そうなの?噂って何だろ?え、それで戻って来たの…?可愛過ぎなんだけど」




背中にまで手を回してくれる。
よくわかんないけど大丈夫だよって……
いや、全然大丈夫じゃないから。




「見せつけていい…?」




「え…?」




「多分見てるから知らしめ…ね?」




おそらく状況整理出来てないまま奈那の唇を奪った。
グッと抱き寄せて……人目もはばからず。
2回……3回としちゃった。




「ヒロ大胆過ぎ……」




「これが渡し忘れ……だから」




真っ赤になりながら「バカ…」って奈那からも。
バカップル…?そうだね。
青ざめてる奴らなんて知ったこっちゃない。
正真正銘、俺が彼氏だ。




「ちょ、寮の前だからヤバいんだけど!?」




「本当だ……俺、怒られちゃう!?」




急に焦る俺を見て吹き出してる。




「大丈夫、ヒロの為なら怒られても平気…」




真顔でこんなこと言ってくれるんだもんな。
その度にドキドキさせられて、何度も惚れ直す。
両手握り締めて揺らすラブラブモード。




「よくわかってないけどこれで見せつけられたかな…!?」




何だか楽しそうな奈那。
俺からお願いしたのにノリノリ!?




「うん、大丈夫だと思う」




「そっか…良かった」




「ごめんね?ガキっぽいことして」




「モヤモヤされるくらいならこれくらいしてくれた方が私もスカッとする」




本当、どれだけデキた女なの。




「私こそごめんね?確かに入学してから何人かに連絡先聞かれたりしたんだけど余計な心配かけたくなくて言わなかったんだ…」