「じゃあ今日はずっとこうやって居よう?」
細い腕で力強く抱き寄せられて髪も背中も撫でられる。
心臓に一番近いところに居るんだ。
トクン…トクン…と規則正しい音。
涙で濡れた睫毛にキスが落ちてきた。
泣くなんて一番ダサい。
男はやっちゃいけない。
奈那の前では格好良く居たいのに。
いつもこんなふうにボロが出る。
ダサくて泣き虫で困らせてばかりで……
これが彼氏なんて笑われるよな。
「信じてって言うのは簡単だけど実際には難しいよね……そこは単に私の頑張り次第ってとこかな」
「え…?」
顔を上げたら意外と近かった。
抱き寄せられてるとか俺ダサ過ぎだろ。
「ヒロに信じてもらえるように頑張るからね?」
チュッと唇に触れた。
抱き心地良いね〜ヒロは…クセになりそう、なんて言われてしまう。
ガバッと離れたらびっくりさせちゃったけどやっぱり俺は奈那と……
え、俺…また泣いてる!?
細い指で拭われて気付く。
「泣いて良いんだよ?俺ダサい…とか思ってる?そんなことないし、そういうの全部含めて私はヒロが大好きだから」
自然と溢れてく。
ダサくても良いなんて嘘だろ。
離れるのが嫌でダダこねてるだけじゃんか。
なのに何で全部包み込んじゃうんだよ。
次から次へと溢れ出る。
ティッシュで拭いてくれながら奈那は続けてくれた。
「私だってヒロに告白したの一世一代の勇気だったんだよ?その辺はわかってて欲しいな〜私も負けないくらい好きなのにな」
「うぅ……ごめん」
「ウソウソ、責めてないから」
鼻水まで拭いてもらって申し訳ない。
涙でグチャグチャな顔に嫌な顔ひとつせず優しく微笑んでくれる。
そんな奈那が好き過ぎてまた溢れる。
「ヒロのプロポーズ、嬉しかったよ……絶対実行してよ?」
うんうん、と頷く。
「ここ、ちゃんと空けとくからね?」
左手の薬指を差して言う。
俺のしかはめないからって言ってくれて堪らなく抱きしめた。
華奢な肩に涙が染みていく。
「奈那ぁ……グス……今すぐ結婚したい」
嗚呼……俺、何言ってんだ。
余計困らせてダメダメだ。
第一まだ結婚出来る歳でもないし。
身体を離して再び見つめ合う。

