「え、じゃあ聡志パパはママのナース姿に最初惚れたの!?」
「えっ?えっ?」
かなりテンパってる親父に「そうなの?」って追い打ちをかける涼子さん。
そっちこそ母娘そっくりじゃん。
奈那もそうやってわざと意地悪してくるとこあるから。
「出逢いがそうだったじゃんか。そりゃ綺麗で清楚で撃ち抜かれたよ?こっちは緊張してなかなか声かけれなかったけど」
「聡志パパ可愛い…」
「可愛いでしょ?でも当時は私も忙しくて、まさか自分がまた恋愛するなんて思わなかったよ〜」
「あ、そっか、主任になりたての頃だったっけ?」
お、何か俺を置いてどんどん話が進んでいく。
そういや親父たちの馴れ初めなんて聞いたことないよな。
いや、俺からは気持ち悪くて聞けないだけなんだけど。
「そもそも何で親父は涼子さんの病院に居たんだよ」
俺も珍しく会話に入ってみた。
「当時の部長がな、病気で入院した時に見舞いに行ったんだったな。その時に担当してくれてた看護師の教育係?が涼子さんだったんだ」
「そうそう、色々教えて回ってたのかな?結構いっぱいいっぱいだった時だったのよ」
「そうなの?テキパキしてて無駄がなく完璧だったように見えたよ?他の患者さんからも信頼は厚かったしいつも笑顔で居てくれて見舞いに来た俺らですら癒やされてたもん。途中で涼子目当てで行ってたような気がする」
おい、しれっと惚気るな。
親父のデレるところは出来れば見たくない。
「で、部長さんの退院が決まった日に凄い形相で聡志さんが私の元に来たの覚えてるわ」
「え、どんなふうに!?」
「部長のこと有り難うございました!って言われて名刺渡されたんだよね、普段ならそういうの受け取らないんだけど凄い形相だったからつい受け取っちゃって…そこで初めて聡志さんの名前知ったもん」
「うわ〜すっごくシャイだったんだね聡志パパは。めっちゃ勇気出したんだろうね〜」
そう言われた親父は顔を手で覆い隠してる。
赤くなってやんの。
「で、何度かデートしたんだよね」
涼子さんに促されながら話が進んでいく。
心なしか段々と親父が小さくなっている気が……
奈那も興味津々だもんな。