映画見てブラブラ買い物して
本当、何気ない日常のデート。
人が疎らなエスカレーターで振り向いた瞬間に少し唇が触れるとか。
人混みの中、腰に手を回して密着したり。
一緒に写メを撮るために頬を引っ付けたり。
人目を気にせずくっつくことが全然出来ちゃうのが奈那だから。
俺もいつの間にか奈那マジックにかかっちゃってて普通にバカップルがするようなことも平気になっていた。
ヤベ……めっちゃキスしたい瞳してる。
今の奈那、直視出来ない。
石段に登って歩く奈那と同じ高さで歩いてる。
時折よろけるから繋いでいた手を引き寄せたら至近距離で目が合って……
「あ、今キス出来るかも…とか思った?」
「えっ!?」
「ハハハ、図星じゃん」
そんな顔に出てた!?
いつも小さな罠を仕掛けてきて俺は100%それに引っ掛かる。
不意打ちもあるしわざと掛かる場合も。
今のはわざとだけど悪戯っ子な笑い方に少なからず癒やされてたりね。
「しないよーだ!」って逃げるから慌てて追いかける。
手を掴んでそのままポケットに入れた。
危なっかしいから繋いでないと。
信号待ちの後ろの方。
待ってたら隣で肩トントンされて……
手招きするから内緒話だと思って顔を近付けただけなのに。
耳を澄ます俺に不意打ちのキス。
一瞬固まったけど状況を理解した途端前を向いて信号が青になったから歩き出した。
後ろなんて向けない……
絶対に人居たよな……!?
見られたよな……!?
心臓が飛び跳ねて動きがぎこちない。
隣からはクスクス笑う声。
またからかわれた。
耳まで真っ赤な俺を見て楽しんでる。
「そうだ、ヒロ。帰り、スーパー寄ってかない?」
「スーパー!?買い物!?」
「うん、帰ったら今日はヒロに冷凍出来る野菜の切り方を教えたいと思いまーす」
「ほうほう、なぜに!?」
「これからママ、つわりとか辛くなるじゃない?動けない日もあると思うんだ、だから私が居る間は私が教えながらするけど、お腹がどんどん大きくなる頃には私も寮生活だし…そんな時はヒロも手伝えるようにしてたいの」
それって奈那のお料理教室みたいじゃない?
2人でキッチンに立つのか……デヘヘ。
ヤバい、幸せしかねぇ…!!

