「反対されたら?」




「2人でちゃんと説得しよう?悪いことはしてないでしょ?」




そうだけど…!
優しく微笑みリビングに向かう。
俺はまだ心臓バクバクだよ。
それでなくてもあと少ししたら離れ離れになるのに。
反対されたら会いにも行けなくなるんじゃないかって……




そうなったら俺はどうすれば…!?
絶対に耐えられないよ…!!
やっと想いが通じ合えたのに……
「別れなさい」と言われたら俺はもうこの家に居られない。




「祐翔くん、ちょっといいかな?」




リビングから涼子さんが俺を呼ぶ。
家族揃ってダイニングテーブルを囲んだ。
2人ともいつになく真剣な表情でこっちを見ている。
膝の上で拳を強く握りしめた。




「疲れてるのに悪いね、でも大事な話だからちゃんと2人には聞いてほしい」




親父から話し始めた。
テーブルをジッと見つめる。
もう、何を言われても俺は奈那を好きな気持ちは変わらないんだ。
認めてもらえないんなら努力するしかない。
真っ向から否定されるのは出来れば聞きたくないけど。




「今日わかったことなんだけど……」




嗚呼……もうダメだ。
俺が勝手にしたことだから…!
勝手に好きになって勝手にキスした。
姉貴なんて一度も思ったことねぇよ。
俺にとって奈那は最初からずっと一人の女だったよ。
惚れてしまったものはどうしようもないだろ…?




ガタッと音を立てて椅子から立ち上がってしまった。
否定される前に俺自身で肯定したい気持ちが勝ったんだと思う。
皆の注目を集めて俺は真っ直ぐ親父だけを見た。




「俺、絶対に幸せにするから……反対だけはしないで」




もう奈那しか居ないんだ。
俺の幸せは奈那の中だけにある。
お願いだから俺から幸せ奪わないで…!





「本当に!?祐翔くんがそう言ってくれて嬉しい…!でもちゃんと産まれてくるまでまだ何とも言えないんだけどね」って嬉しそうな涼子さん。




えっ…!?
今、何て言った…!?




隣からそっと腕を掴まれて座らされた。
ちょっと待って…?
俺、何か勘違いしてる!?
モジモジしている夫婦2人。
「改めて俺から言うね?」って涼子さんに確認してる。