お揃いの黒いキャップ帽買って街を歩く。
手を繋いで…はしゃいで…くっついて。
思いきり恋人としての時間を楽しんだ。




同じように夜中は密会して愛し合って。
帰りは新幹線だったけど爆睡してる俺たちの寝顔、また撮られてるなんて気付かずに帰路に着く。




欠伸しながら駅でバイバイしようとしたら呼び止められて。




「あ、あの、俺ら付き合うことになったから…!」




「えっ…!?」




手元を見ると二組ともしっかり繋いでる…!
え、え、え!?マジ!?いつの間に!?
びっくりして目が覚めたわ。




「おめでとー!」と奈那がチカさんとマキさんに抱きついてる。
お前らいつの間にキメてんだよ。




「ていうかマキさん、本当に純太でいいんですか?」




「な、何だよ!めっちゃ大事にしますって誓ったんだからな!」




「宏介は……めちゃくちゃ惚れてるみたいなんでご愁傷さまです」とチカさんに頭を下げた。
皆、真っ赤になってていい感じ。




「お前ら、俺の大事な人のお友達なんだからな?泣かせたら承知しねぇぞ」と釘を刺しておく。
ま、おめでとう。




最終日に思いきって2人とも告白に踏み切ったらしい。
そうか、俺より勇気あるんだな。
あんな偉そうなこと言っておいて俺は自分から行ってない。




「上手くいって良かったね〜」と言う綺麗な横顔。
自分のことのように喜んでる姿がいちいち可愛い。




ふと立ち止まったらすぐに気付いて振り向いてくれる。




「ヒロ…?どうしたの?」




俺、ちゃんと言えてなかったから。
家に着いちゃう前に伝えなきゃいけない気がした。
俺なりの、ケジメ。
アイツらに完全に触発されて…な気もするけど許して。




でもここは住宅街。
まだ遅くない時間だから人も歩いているわけで。
強引に手を引き少し離れた場所にある公園にまで来てしまった。




「ちょ……ヒロ、本当どうしちゃったの?さっき、駅着いたってもうママにメール入れちゃったんだけど?」




「ごめん……すぐ終わるけど、人の居ないところで話したかったから」




振り向いてちゃんと向かい合った。
周りには誰も居ない。
緊張して強張る俺を不思議そうに見上げる瞳。




「何…?良い話?そんな顔されると不安なんだけど」




「あ、いや……真剣な話、です」




ヤベ……言葉にして伝えるって思ってる以上に難しい。
でもモタモタするな、奈那が不安がってちゃ意味ないだろ。