あっ!ていうか店内の男たち皆見てないか!?
私服でもスタイル良いのわかるしオシャレだし可愛いし、もうそこに居るだけで空気が違う。
凛とした佇まいに何度も視線を奪われる。
ネイルを見つめてる仕草や携帯を見る仕草……
でもすぐに数々の視線に気付いて居心地悪そう。
チラッと俺を見てくれた。
小さく手を振ってくれて周りの視線が一気に俺に向く。
混む時間帯が過ぎて定刻になりバイトを終えた。
急いで着替えてフロアに戻ったら案の定知らない人に声かけられている。
「えっと、待ってる人居るんで」って断ってたところに出て行く。
「ごめん、待たせて」
俺が声をかけたらすぐ立ち上がり隣に立ってくれる。
腕を組んで「お疲れさま」って目を見て言ってくれるんだ。
一瞬で疲れなんか吹き飛ぶから。
すでに店内で注目を浴びてる俺たち。
追い払いたいとこだけど男2人組も一応客なんだよな。
「え〜男待ってたの〜?」ってノリ軽いけど一歩間違えると後々面倒くさいことになりそう。
「すみません、僕の大切な人なんで…失礼します」
丁寧に頭を下げて奈那の手を引いた。
店から出るとギュッと手を握り返してくれる。
実はこの時めちゃくちゃドキドキしてました。
追いかけて来られたらどうしようとか因縁つけられたら近くの交番に駆込もうとか考えてた。
「格好良すぎ……僕とか言ってたし」
「今それ言わないで……いっぱいいっぱいだから」
顔を隠すもその手を剥がされて……
真っ直ぐ見つめる視線に捕まった。
もう本当にコレ弱い……
「まだ地元帰りたくない…」
バイト先は学校とは正反対の場所で家からも少し離れてる。
「じゃあさ、二駅先の臨海公園行こっか?」
「うん…!」
ここで満面の笑みとかこれ以上骨抜きにしないで。
ずっと手を繋いだまま公園のベンチに辿り着いた。
近くで波の音もする。
落ち着く………

