「あ、温泉とか良いんじゃない?」
必死に話題を振る俺を見ながらニコニコしてキッチンに立つ涼子さん。
欠伸をしながら部屋から出てきた親父。
「何か騒がしいな…」の一言に説明しようとした涼子さんを差し置いて俺が身を乗り出す。
「親父も卒業旅行は国内にした方が良いって思うよな!?」
「へ!?卒業旅行!?奈那ちゃん、行くの!?」
何だよこの家はっ!?
男子は蚊帳の外か!?
しかし今はそれどころじゃない!
親父も取り巻かないと!
「グアム!?今どきの子は卒業旅行も立派だねぇ〜」って感心してる場合じゃねぇんだよ!何とか言ってくれ…!
「良いじゃない?勉強頑張って受かったんだしそれくらいご褒美としてね」って涼子さーん…!!
今はそのアシストいらないっす。
「ダメ…!女子3人だよ!?何かあったらどうするんだよ!?」
「祐翔……お前珍しく熱いな?」
あ、ヤベ……ボロ出し過ぎた。
チラッと奈那を見たらクスッと笑われる。
「でもこれだけ祐翔くん心配してくれてるんだったら国内でも楽しめそうなとこたくさんあるから選んでみても良いかもね」
涼子さん……目見れない。
喚くだけ喚いて今めちゃくちゃ恥ずかしいです。
泡になって消えたい……
「奈那ちゃん、グアムとか国外はさ……今度ぜひ家族で……どう?」
「えっ!聡志さん大丈夫なの!?仕事休めるの!?」
一番最初に食いついたのは涼子さんで親父もタジタジ。
「大丈夫だよ〜有給取れそう」とか言いながら肩掴まれてブンブン振られてる。
親父…!グッジョブ…!
「フフフフフ……」
奈那の不気味な笑いが聞こえてきた。
涼子さんとも親指立てて合図し合ってる。
何だ!?何だ!?
「それでは家族旅行はグアムに決定したところで、私の卒業旅行の行き先は……大阪に決定〜!USJ〜!楽しみ〜!」
はっ!?大阪!?USJ!?
うわ、楽しそう…!!
ていうか国内…!!よっしゃ!!
嬉しそうにパンフレットを親父たちに見せてる。
俺とも目が合ってニッコリ。
やられた……キュン死だ。

