靴も脱がせないまま強引な俺に合わせてくれるんだけど、毎回「まだ鍵閉めてないから」って怒られたりもする。
拗ねれば拗ねるほどガキっぽさが露呈してしまって嫌なのに奈那はこっちの俺の方がらしくて好きみたい。
頬をツンツンされて
「何怒ってるの…?」って知ってて言うだろ。
プイッと先に靴脱いであがったら甘い声で後を追ってくる。
一緒に手洗いうがい、鞄を部屋に置きに行く。
「ねぇ…ヒロってば」
ほんの少しだけシカトしても響かないのは知ってる。
何の疑いもなくノコノコと俺の部屋まで来ちゃってさ。
だからベットに押し倒しちゃう俺を許して…?
「ほんっとさぁ……何人に告られてんの?俺の前でとか…」
マジでムカつくんだけど。
彼氏居るって言えよ。
見上げる視線が舐めるように俺を捉える。
嗚呼……もう、この怒りどこにぶつけりゃいいの?
「ちゃんと断ってるって言ってんじゃん…」
「あの断り方で諦めると思う?」
「え…?ダメ…?」
「バッサリいかなきゃダメだろ……それでなくても可愛いのにさ…」
「え〜?じゃ、どう断ればいいわけ?」
それ、俺に言わせるの…!?
2人だけがわかってれば良くない?って逃げ方はズルいよ。
「付き合ってる人が居るって言えば?」
「誰って聞かれたら?」
「そこは伏せてりゃいいでしょ」
「え、無理かも」
「えぇっ!?」
「こんなクールな顔しながら本当は独占欲の塊で心配性で嫉妬まみれのヒロが彼氏ですって言っちゃいそう…」
「おい……」
首の後ろに手を回され引き寄せられる。
わわ、もう唇がつきそうな距離。
「ていうかいつまでこの態勢?いい加減キスしたいんだけど…」
「えっ、あ……うん」
押し倒しておきながらせがまれるとか男の恥…!
キスしながら“ヒロが彼氏です”ってセリフが脳内リピートされていた。
本当ならそう言ってほしい。
でも、そんな簡単なことじゃないことも知ってるわけで。
唇が離れたらまだ欲しそうな顔で見上げながら。
「堂々と出来なくてごめんね…」
違う、そんなこと言わせたいんじゃない。
思わず首を横に振る。
俺のすぐ傍で他の男に笑顔振り撒いたりするから……
そんなんだったら好きな人が居るとか言って遮断してほしい。

