でもほら、学校入っちゃっても危険だらけだ。
靴箱で告白されたり手紙が入ってたり。
同級生の男子に下の名前で呼ばれてたり。
胸の内がどす黒くなっていく。
見たくない。
気になって仕方ない自分が嫌だ。
それでも目が合って何か言いたそうにしてるけど、こんな顔してる自分見られたくなくて背を向けた。
校舎違って初めて良かったと思えたかも。
どうせ俺は年下だから。
弟だから。
これ以上は踏み込めないから。
家での奈那しか独り占め出来ないから。
そう思って拗ねてみただけなのに……
後ろから腕を掴まれたら期待しちゃうだろ……
びっくりして振り向いたらやっぱりそこには駆け寄ってきた奈那が居て。
「ヒロ、今日一緒に帰る?」
「え……」
「ていうか、一緒に帰ろ?」
そんなのメールで済ませれるのに。
わざわざ走ってきたの?
掴んだ腕、離してくれないし。
「ん……わかった」
どんな顔したらいいんだよ。
嬉し過ぎる。
そもそも周りに見られてるのに。
そんな笑顔見せちゃっていいの?
キュッと俺の袖を掴む。
「ちゃんと全部断ってるから」
「………うん」
「心配するようなことは絶対ないからね?」
「うん」
やっぱり俺が拗ねてるのお見通しか。
態度があからさまだったかも。
納得した俺にとびきりの笑顔で
「じゃ、また後でね」って去って行く。
「マジか……」
心臓ごと鷲掴みだろコレ……
相当ヤベぇぞ。
「朝から見せつけてくれんね?」
背後から桜井さん、純太に宏介。
散々いじられてきたせいか、もう何を言われても割と平気だ。
おはよう、と微笑んだらやっぱり気持ち悪いって言われたけど。
「知ってた?もうすぐ3年生卒業じゃん?早速告白ラッシュ始まってるみたいだよ」
「知ってる……」
ひと足早く目の当たりにしたわ。
他校にも及んでるみたいだから登下校1人に出来ねぇよ。
遠くから
「末永の姉ちゃんマジで可愛いよな」って聞こえてくる。
「俺も声かけてみようかな…卒業したら会えなくなるもんな」
「俺さっき目が合った!」
うぜぇ………聞きたくねぇ。

