電車がホームに入って来てドドド…と人が乗り込んでいく。
腕を引き寄せドア側に守るけどご機嫌斜め…?
携帯を見ながら
「チカたち次の電車に乗るって」と言ってきた。




走り出してすぐガタンッと揺れたため身体がより密着する。




「あ…っ」と目が合う。
バカ……そんな声出すな。
他の野郎が反応したらどうすんだよ。




「ちょ……ヒロ」




小声で言うから何事かと思えば……
うん、当たっちゃってるよね…俺のが。
ごめん………すぐ収めます。




「帰ったら説教だからね…」




最強に可愛い上目遣いで言うの、わかっててやってるでしょ?




「うん…!」




あ、ヤベ……声デカかった。
「もう…」って耳まで真っ赤なのも大好物です。




どんな場所に居ても誰かの目を奪う。
危なっかしいけど実際触れると芯が通ってて……




「収まったよ」




小声でそう伝えたら恥ずかしそうに笑う。
この笑顔、独り占めしてぇなぁ。
両手をついて守ってるから俺だけが見れる特等席なんだよね。




フゥ〜と深呼吸。




「大丈夫?」




人混みに酔っちゃた…?




「ううん、大丈夫だけど……」




両手ついてて幸い周りに同じ制服は居ないから……かな。
トン……と左腕に頭を預けてきた。
確かに頭近かったけど急にこんなのされたら飛び上がるくらい嬉しいんだけど…?




言っとくけど、ギュッてしたいの死ぬほど我慢してるからね?
その角度からの上目遣いヤバいからやめて?
最寄り駅に着くアナウンスが流れる。




「もういいよ」と頭を預けてた方の腕を降ろされてそのまま下で指を絡めてきた。
降ろしてしまえば見られることもない。
早くそうすれば良かった。
もう着いちゃうじゃんか。




絡む指が視線を奪う。
至近距離で見つめ合ってたら本当にカップルみたいだな。
本当に付き合ってるんだけど。
これじゃバレちゃうんじゃない?
いいの…?




ホームに到着しドアが開いたら手は離れたけど、優しい眼差しが心を繋げる。