親の再婚で3年前から同居を開始。
連れ子同士で血は繋がらない。
初顔合わせで奈那に一目惚れした俺は自己紹介した時、
「ヒロって呼んでいい?」と優しい笑顔で言われたことが頭から離れないでいた。



日に日に綺麗になっていく奈那は転校初日からアイドル並みにチヤホヤされていた。
中途半端な時期に編入してきたのは奈那が母親の再婚を後押ししたかららしい。




「私が居るからって遠慮してたら実る恋も実らないよ?ママも綺麗なうちにドレス着たいでしょ?編入試験受けるからプロポーズ断っちゃダメだよ!」




半ば強引に再婚に踏み切ったけどあの時奈那に言われなければ違った未来だったのかも知れないって義母の涼子さんは言っていた。
凄く綺麗な人。
親父には勿体ないくらい。
奈那も涼子さんに似てめちゃくちゃ綺麗。




たまに目が合ってそらしちゃうけどクスッと笑って本やゲーム機に目を移してる。
涼しい顔して突然隣に座ってきたりする。
そりゃ家族だから?
姉弟だから?
何の意味もなく割り振られた場所に座るのが自然なんだろうけど。




うるさいくらい鳴ってる心臓は俺だけなのか?
左側だけバカなくらい意識して、
悟られないようスマホゲームに集中してたのに。




「え、凄いじゃんヒロ!私まだそのステージ行けてない…」




いや、顔、腕、脚…!!
全部近いから…!!
長いストレートな髪も頬にかかるほど密着してる。
座り直して距離を保つ。
頼む、理性よフル稼働してくれ…!!




「課金してんの!?」



丸々と大きな瞳で俺のテリトリーに入ってくる。
目も唇も潤い過ぎだろ!
すっぴんでもそのクオリティーかよ!
暴れる心臓……クソっ!




「し、してねぇよ」




「マジ?私、課金しても無理だー」




「課金してんのかよ!」