この子だけは絶対守る……!!
ザザザっと擦りむいた音。
停まったトラックのタイヤ。
ドン…!とぶつかった感触。
全てがスローモーションのように見えた。
ギュッと抱きしめたミクちゃんを感じながら……
嗚呼……俺、やっぱ最後にもう一度奈那とキスしたかったなってあの笑顔が脳裏を過ぎった。
「大丈夫ですか!?」って降りてきた運転手がそう聞いてきてる気がする。
ミクちゃんも何度か名前呼ばれてる。
「ママ…」って声が聞こえて助かったんだ…と胸を撫でおろした。
俺は……助かったんだろうか……?
ゆっくり瞼が動く。
うっすら見えてる世界は現実なんだよな…?
「ヒロ……!!」
遠くから大好きな奈那の声がする。
幻聴……!?
神様がチャンスくれたのかな…?
会わせてくれたんだな。
いつの間にか手からミクちゃんは離れていて目の前に奈那の顔。
デヘヘ……この顔好きなんだぁ。
神様……めっちゃ可愛いでしょ?
俺が惚れるの無理ないよね?
ちょっと…神様。
俺、奈那の笑った顔が好きなんすよ。
何で泣かせるんすか。
これが最後とか嫌っす。
お願いだから……笑顔にして?
「ヒロってば…!どこが痛い?話せる?」
どうしたの…?そんな慌てちゃって。
俺ちゃんと居るってば。
奈那……笑ってよ。
やった、身体動くや。
神様、ありがとう。
キス、させてくれてありがとう。
軽く触れた唇。
驚いた顔はやっと泣き止んだみたい。
エヘヘと笑った俺をふわりと包み込んでくれた。
「奈那、大好きだよ」
「ヒロ……ねぇ、本当に大丈夫なの?どこかぶつけてない!?痛いとこは!?」
ほら、また泣く……笑って?
「救急車呼びます」
運転手が慌てた様子で携帯を手にしてる。
待って…!俺、大丈夫っす!
実はトラックにぶつかってないし、間一髪でミクちゃん抱いたまま受け身で前転しただけ。
だんだん記憶が鮮明に蘇ってきた。
頭もぶつけてないし、ちょっと腕がヒリヒリするだけで他は何ともない。

