手のひらで目頭を押さえた。
届かない想いだとまた溢れ出る。
静かに泣くことしか今は出来ないなんて
俺は耐えれないよ……
ガチャッとお風呂場の扉が開いた。
さっきまでのシャワーで温まった浴室。
びっくりして固まる俺。
胸から下をバスタオルで巻いた華奢な身体は、何も言わず同じ湯船に入ってきた。
湯気で曇ってた視界がクリアになっていく。
え?え?
すぐ近くの部屋に親父たちが居るのに!?
驚き過ぎて頭真っ白になって喋れない。
ただ目の前に現れてくれた愛しい顔は頬を赤らめて、逃げないように湯船の中であぐらをかく足に片足を乗せてきた。
「こうでもしないと話聞いてくれないでしょ?」
浴室に響く抑えた声。
「奈那………」
思わず声に出したらまた泣いてしまう。
「真っ赤だよ……泣いてたの?」
優しく涙を拭ってくれる。
止まらなくて押し殺して泣く俺を柔らかい腕が抱きしめる。
マシュマロのような膨らみの中で静かに泣いた。
髪を撫でながら全部受け止めてくれる優しさに甘えて抱きしめ返す。
「話聞いてくれる?」
耳元でそう言われコクリと頷いた。
静かに出て両親にバレないよう足音たてずに部屋の前を通り過ぎる。
振り返った奈那は階段の前で俺の手を握ってきた。
そのまま手を繋いで俺の部屋に入る。
声のトーンを下げてゆっくり話し出した。
「どこでどう勘違いしてるのかわからないけど、はっきり言わせてもらうね?私、先輩ともう一度付き合うとか絶対にないから」
「えっ…!?」
「ヒロ、私が先輩とヨリ戻すとか思ってたんじゃない?」
「………うん」
「バカ…!やっぱりそう思ってたか……ていうか私のこと信じてなかったわけ?」
「そうじゃないけど……手握ってたし、失いたくないとか言ってたし」
どうしようもないくらい好きとも言ってた。
今にも泣きそうな顔で訴えてた…!
俺にしか見せちゃダメだって言ってたのに簡単に見せてたじゃないか…!

