触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「この時間帯っていつも二人きりなの?」




「いや、帰ったらほとんど涼子さんが居るよ……あ、義理の母な」




看護師の仕事をしている涼子さんは日勤、夜勤とバラつきはあるものの家に居る時はちゃんとご飯作ってくれてる。
今日は急なシフト変更だったみたいだな。
涼子さんのご飯も美味いんだよなぁ。




「あぁ、そうなんだ……ていうか二人きりとかヤバくね?クラスの女子ならまだしもさ、あの奈那さんだぞ!?」




「お前何気に今、クラスの女子全員敵に回したぞ」




「あんな独占欲剥き出しにしてんなら尚更ヤバいんじゃねぇの?」




二人きりの時はめちゃくちゃ抑えてるよ!
お前らのせいだろうが!!




ガシッと股間を握られる。




「ちゃんと理性、働いてる?」




「バカヤロウ!触んな!」




パラパラと参考書をめくりながら一人良い子ちゃんぶってる宏介が呆れてる。




「そんなにヤバいんならさ、学級委員と付き合えば?」




「はっ!?」




学級委員とはその名の通りで俺らのクラスの女子学級委員。
ほんの数週間前に告白された。
勿論、よく知らないし断ったんだけど。
見た目は学級委員って感じではなく、垢抜けていてサバサバ系の今どき女子……だと思う。




何で俺!?って感じで最初キョドってしまった。
「罰ゲーム?」とまで聞いたくらい。
奈那のお陰かどうかわかんないけど、俺も高校デビューとまではいかなくても以前よりかは垢抜けた方なのかも。




どんどん綺麗になっていく奈那に追いつきたくて。
隣に並んでもおかしくない姿にはなりたくて。
いい感じに背丈は伸びたし。
同じ美容師に切ってもらってるし。




髪を染めようか悩んでたら
「ヒロは黒髪が似合ってる」って言われたから染めてない。
自分は茶髪にしてるくせにな。