触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





「どうかした?」




「あ、ヒロ……あのね、今日ママ夜勤入っちゃったみたいで」




「ん?帰って来ないの?」




「シフト入ってた人が体調崩したとかで…」




「そっか」




ん?親父は昨日から出張だし……
ってことは今夜は二人きり!?
うわ、マジかよ……




「だからね、どうしようか?」




「ど、どうしようかって何がだよ…」




急に意識しちゃう言い方するなよ。
普通に過ごすしかねぇだろうがよ。




「私とヒロじゃとても……」




「俺じゃ不服か?」って俺も何言ってんだよ。




「二人じゃとてもじゃないけど無理だよ?」




奈那は俺と二人きりなのが嫌なのかな?
それはそれでショックでかいんだけど。
今までもこういうことあったのに我慢してたってことなのか?
俺は嬉しいわ緊張するわで大忙しだったけどな。





「この肉どうしよう……」




「え?肉っ!?」




「うん、大人3人分+ヒロのおかわり分でこの量を解凍しちゃったんだけど」




奈那の手元を見るとドンと置かれた解凍済のミンチの塊が。
確かに二人だと結構余る。
でも普通に明日も食べるけど?




「あ、そうだ!純太くんも宏介くんも夕飯食べてく!?」




バカッ!
そんなこと言ったら調子に乗るだろ!
目輝かせて「いいんですか!?」って、ほら。
最悪だ。





奈那特製のタコライス。
俺の大好物。
まだ誰にも言ったことがない大好物。
俺だけの奈那が作るタコライス。
今夜は二人きりなら、俺だけを想って作ってくれたであろうタコライス。
何でこんなことに……




勉強会だけのはずだったのに。
奈那のエプロン姿にヘアアップ姿、
安安と見せてんじゃないよ、全く。
カウンターキッチンから見える料理してる奈那。
いつもなら俺が穏やかな顔して見てる景色なのに。




「お前いつもこんな生活してんの?」




「え…!?」




ヤバっ、ボーッと見てしまっていた。
純太の声で我に返る。