気付けば朝。
そ〜っとリビングに降りていく。
ちょっと寝過ぎてしまった。
もう両親は出てるはず。
奈那は……!?
居た……!
ソファーテーブルで勉強してる。
足音に気が付いてこっち見た。
フワッと柔らかい笑顔。
毎朝幸せを噛みしめる。
「寝ぼすけヒロ、おはよう〜」っていつもの奈那だ。
ラップされた朝食。
焼けたトーストとコーヒーの匂い。
少し離れた奈那を見ながらの食事。
「いいよ、洗うよ?」
食べ終えた食器を片そうとしたら奈那がやって来た。
「え、でも勉強……」
「ちょうど一段落ついたとこだから」
スポンジを手に洗い出してくれた。
「後で宿題一緒にやろっか?まだ手つけてないでしょ?」
「うん……その前に」
ギュッと後ろから抱きしめる。
だって今、両手塞がってるし。
「ちょっ…!ヒロ…!」
「少しだけ……充電」
「却下…!宿題みてやんない…!」
「ごめん…」
耳元でそっと呟いたら「あ…」って可愛い声出すから肩に顎を乗せて抑えた。
洗い終えた奈那は逃げるように戻って行く。
誰も居ないから良いのでは…?
まだダメなの…?
宿題を持って来たら
「終わるまで何もしないでね?」って予防線。
悲しい………
ちょっとどころか端と端で座る。
「え、離れ過ぎじゃない?見れないんだけど…」
「いい、雑念追い払うから」
「そ、そう……?」
「わからなかったら聞くから」
「うん……」
ヤベ……1問目からわかんねぇ……!
よし、とばして次だ……!
カリカリとシャープペンを滑らせるが……
止まってしまう。
「教えようか…?」
「いや、自分でやってみる」
「止まってばっかだけど?」
待って、まだ煩悩だらけだから。
奈那の香り嗅いじゃったら教えてもらっても頭入んないし、すぐ触れたくなる。

