触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




もう、やる気なし!
教科書もノートも閉じた。
ソファーにドカッと座ったら機嫌悪いって気付いてくれる?
「じゃあこの問題解いてみて」と純太から離れこっちに来てくれた。
嗚呼、本当にガキだな俺は。




床に座って俯く俺の顔を覗き込む。
嫌でも目が合う作戦だな。
こういうの上手いんだよ、この上目遣いにめっぽう弱い。




「ヒロ?もう飽きたの?全然してないじゃん」




「やっぱ数学もういいや」




「ダメ、証明問題苦手でしょ?ベクトル解析のやつとか、ちゃんと克服しないと学年上がるごとに難しくてついていけなくなるよ?」




そうそう、そうやって俺の隣に居ろって。
まだムスッとしてたら突然、冷たい手が額に触れてきた。




「え?熱とかないよね?しんどい?」




「いや、大丈夫」




「じゃあ座って」




自分の隣に座るよう促してくる。
仕方なくもう一度座ったらこっち見ながら微笑みかけてきてさ。
キュンキュンするだろ!
うわ、顔近付いてきた!!




「わかった、コーヒーでしょ?眠気覚ましに入れようか?」




「う、うん…」




俺のこと思って言ってくれてんなら有り難く頂こう。
二人もいる?なんて聞きそうだったから
「こいつらはコーヒー飲めないから!」って叫ぶ。
キッチンに行った後に二人から鋭い眼差しが……




「俺らコーヒー飲めますけど?」
「ていうかお前、必死過ぎ」




何とでも言え。
お前らに奈那のいれるコーヒーは100年早い。
あ、ブラックかと思えば砂糖入ってた〜!
糖分も必要だもんな。
やっぱ俺のことわかってる。




こんなことで一気に機嫌が直ってる俺を見てクスッと笑ってる。
前を見れば二人も笑ってる。
クソっ!!




「さ、始めよう?」




「うん」





しばらくして奈那の携帯が鳴る。
LINEを開いて「あ…」って。
こっちを見た後に慌ててキッチンに行った。