「あれ?私、変なこと言った!?」
戸惑う奈那の手をガシッと鷲掴みしたのは桜井さん。
「いや、撤収です。ラブラブを全力で阻止しようとしてました、すみません!奈那先輩の気持ちに触れて、一度出直します」
「え……そうだったの?うん……何かよくわかんないけどまた来てね?」
「はい!今度はもっと作戦練りますね!」
練るな!練るな!
風のように帰って行った3人。
「気を遣わせちゃったね?」とクスッと笑う。
やっとなんだけど、いざ2人きりになると急にドキドキするし。
「私も何か飲もう〜っと」
キッチンに行く後ろ姿を見つめながら
純太に向かって言ってくれた言葉を思い出す。
嬉しすぎて今日寝れないかも。
ずっとリピートしてんだけど…?
チラッと覗いたらオレンジジュースを飲む奈那と目が合って、いる?って聞くから頷いたらコップに入れてハイってコップを前に差し出す。
ゆっくり近付いて行ってそのコップを受け取らずにそのままキスをした。
両手にコップを持つ奈那は身動き出来ないもんな。
わかっててやる俺はズルい……?
ズルいのは奈那だよ。
皆の前であんなセリフ、惚れ直すに決まってんだろ。
唇が離れたら熱い視線が絡んでまだ欲しくなるけど。
「奈那から欲しい」
「うん、ハイ」
「違う」
「え…?」
「コップからじゃなくて、こっち…」
人差し指で奈那の唇に触れる。
意味を理解したのかやっと真っ赤になった。
「それはちょっと…」って困惑してる。
「恥ずかしいよ…」
それ言わせたくて仕向けたんだけど。
「奈那の口からじゃないと飲みたくない……あ〜喉乾いたな」
「え、本当にやるの?」
「うん、お願い」
腰から引き寄せてキッチンの台に乗せた。
わわっ…!とびっくりしながらの俺を見降ろす瞳。
今、俺だけを見てるだろ?
真っ直ぐな視線が本当好きなんだ。

