触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




しばらくの間、静かな空間にシャープペンシルの走り書きする音だけが聞こえる。
野郎3人だけ妙に落ち着かず集中出来てない。
慣れてる俺でさえ、奈那の凛とした佇まいに息を呑むほどだ。




「早速なんですけど……ちょっとここわかんなくて…」




ここにきてまさかの宏介っ!!
奈那の方から移動して隣に行っちまったし!!
(ごめん)って何だよ宏介。
グッと拳を握る俺。
気にしてないフリして腸煮えくり返ってる。




今すぐこっちに引き寄せたい。
ほんのり香るお前の良い香りに二人ともどうにかなっちまうじゃねぇか。




萌え袖カーディガンに襟ボタン外した緩めのリボン。
チラリと見えるネックレスは今年の誕生日に俺がプレゼントしたやつ。
ずっとつけててくれるのは何気に嬉しいけど。




つーか二人とも奈那の顔ばっか見やがって絶対話聞いてないだろ?




「あれ?ちょっと待って…えっと、2分ちょうだい」




久々なのか復習がてらブツブツ言いながら1年の教科書とにらめっこしてる。
ノートに端にスラスラと公式書いて暗算してる真剣な表情も家じゃあまり見れないレアショットだからついガン見してしまう。
これじゃ俺もこいつらと一緒か。




「オッケ、思い出した〜危なかった〜!宏介くんこれはね〜」




おい、近過ぎっ!
たまに奈那は距離感がおかしい。
誰にでもやるってことは天然なんだな。
目の前で顔近付けんなよ。
肘も当たってるから。
意識してんの宏介だけだけどな。
お前はチカさんだろ!




「あの奈那さん!僕もここが……」




今度は純太か!
なーにが奈那さんだ!
“僕”なんか普段言わないだろ!
指くわえて見てるこの状況を早く打破したい!




とはいえ、奈那も一生懸命分かりやすく説明してるからこっち来いとか言えないし。
楽しそうに笑わないでほしいとか、
こいつらに寄らないでほしいとか、
ついモヤモヤしてしまう。