「ありがと」
「どういたしまして」
これならいっそ、毎回してもらおうかな…なんつって。
今のところ、覚える気ゼロです。
「そういやママも聡志パパにしてあげたりするの?」
急にぶっ込む奈那に2人とも咳こんでる。
うわ、めちゃくちゃ動揺してんじゃん。
「あ、じゃあそれもママが?」って見破られてるし。
何がネクタイも結べないのか?だよ!!
「親父こそ自分で結びなよ」と嫌味のひとつでも言わせてもらおうか。
新聞で顔隠すとか子供か。
そしたら小さな声で涼子さんが
「私がお願いしてさせてもらってるの、聡志さん責めないであげてね」だとさ。
すみません、息子は若干引いてます。
「行ってきます」
後は2人で時間の限りラブラブしてください。
玄関まで送ってくれようとする涼子さんを「鍵閉めるんでそのままで」と座らせた。
玄関を出てすぐ後に奈那も出て来る。
「朝から2人からかっちゃったけど仲良さそうで安心した〜」
白い息が浮かんで消える、空気の冷たい朝。
ドアを閉め終えた奈那が振り返ると同時に押し付けた。
外の道路からはここまで見えない。
壁ドンくらい近い距離。
自分のネクタイを触って訴える。
「これからも奈那がしてよ」
「それは良いけど……でも私、ここ出て行くよ?」
うっ……わかってる。
でも………
「私が居る時はしてあげるね?」って目線は俺を煽るだけだって知っててやってるよね?
我慢限界でキスをした。
朝から濃厚なキス。
「ちょ、ヒロ……ここはマズイでしょ」
「奈那が煽るから…」
「バレた?」
その顔もヤバくてもう一度しようとしたら「遅刻するってば!」と怒られた。
グスン………その為に少し早めに出たのにな。
ハイハイ、弟モードに切り替えますよ。
帰ったら覚えとけよな。

