「ヒロと出逢う前に初体験は済ませてる……中学の先輩だった人。好奇心で一度だけ。すごく後悔したんだ……再婚が決まってヒロと出逢った時に、ちゃんと好きになった人とすれば良かったって」
「そうだったんですね……それからは一度も?だからほぼ初めてか……ヒロくん見て後悔したって奈那先輩もその時からヒロくんを…?」
「うん……影はあったけど知れば知るほど好きになってたんだと思う」
裾を掴んでる手を握りしめる。
ありがとう、話してくれて。
優しく微笑んでくれるから見つめ返しちゃう。
「だから私も感想は、幸せ過ぎて最高…かな」
可愛すぎて髪を撫でてたら
「おーい、私居るのに堂々とイチャつくんじゃないよ」とお叱りを受けた。
もう帰ると支度を始める。
「お昼……一緒にどう?」
「私も暇じゃないんで、貴重な時間を2人で楽しんでくださいな」
ドアノブに手をかけた時「あ…」と立ち止まる桜井さんは振り返り俺たちの元へ。
手招きしながら小声で粋な提案を。
「もし、2人の仲がバレそうになってヤバい状況なら私使ってくれていいからね?いくらでも彼女のフリしますんで」
「ありがとう」
帰った後。
「あんないい子に嫉妬してたんだ、私…」と呟く奈那。
目が合って笑い合う。
純太たちには………休み明けにでも言おう。
とにかく今は誰にも邪魔されたくない。
親の目を盗んでどちらかの部屋に入ってはキスを繰り返す。
余裕なくてごめん。
1分でも早く触れていたくて、
触れた後は1分でも長く奈那を感じていたい。

