「仲良いのね〜?ひよりちゃんだっけ?祐翔くんのことお願いね?」
「ちょ、涼子さん!今のはそんなんじゃ…」
「こちらこそ宜しくお願いします」
何ちゃっかり自己紹介済ませて彼女宣言しちゃってんのって笑顔で言う。
勿論、涼子さんに聞こえてないていで。
私のこと彼女ってことにしてたら本命との仲怪しまれずに済むでしょー?って返された。
い、一理あるけど………
もう誰もウソで騙したくない。
でも、涼子さんも俺の気持ち知ったらどんなリアクションするんだろう。
深入りしないよう説得してくるだろうか。
奈那を早く自立させて遠ざけようとするだろうか。
今はニコニコしてくれてるけど
いつかその笑顔は消えてしまうのかな。
「それじゃ失礼します」
「送ろうか?」
「ううん、大丈夫」
「気をつけてね」
「お邪魔しました」
とにかくアレだけはバレないよう袋に直した。
変なところを見られたから笑顔で誤魔化すも引きつったまま。
急ぎ足で部屋に引きこもる。
その後の夕食は食べた気がしなかった。
あまり触れないでおこうと涼子さんもよそよそしいし、奈那なんて目も合わさない。
親父は相変わらず無口だけどこの重苦しい空気には気付いているはず。
食べ終わればすぐにお風呂に入り再び部屋に引きこもった。
絶対、奈那………あの瞬間を見たんだよな?
キスしたと思ってるよな。
大切にしなよって……言ってた。
デートもしてきなよって。
完全に付き合ってると信じてるだろうし
それらしきことは度々目撃されてた。
でも何故あの態度……!?
いつもならコップが空く前に麦茶を入れてくれてたのに、今日は涼子さんが気遣って入れてくれた。
嫌いな野菜があればテーブルの下で足同士でツンツンしてきて、アイコンタクトで除けてた野菜を俺が取って食べるという暗黙の了解もなかった。

