「なぁ、頼むよ祐翔!お前ん家で勉強会しようぜ!」
「い、や、だ!!」
しつこい純太の考えてることなんかお見通しだ。
前から奈那推しで何かと接点を作ろうとしてやがる。
全部阻止してやってるけどな。
「まぁ、今回は俺もそうしてくれると有り難い…」って宏介は俺の味方だったんじゃねぇのかよ!?
顔真っ赤にしてるから問い詰めたら奈那の友達のチカさんに恋しちゃったらしい。
マジかよ……絶対この前の電車じゃん。
チカさんも誘えってか。
チッ、仕方ねぇなぁ。
携帯を出して奈那にかけた。
学校でかけるとか何気に初かも。
いつもLINEで済ませてるけどそれも連絡事項ばっか。
3コールくらいで繋がった。
__ヒロ?どしたの?
__あ、いや…あの、大した事じゃないんだけどさ
ヤベ、電話だと耳打ちされてるみたいで一瞬頭真っ白になった。
緊張してるとかダセぇ。
早く言えよ!とばかりに両端から肘で突かれる。
嗚呼クソっ!
昼休みだってのにこんなことで時間費やして何してんだよ俺は!
__もしもし、ヒロ?今どこ?
__えっと、南館と東館の連絡通路……
__知ってる
__え?
後ろから誰かがブレザーを引っ張ってる。
ゆっくり振り返るとそこには繋がったままの携帯を耳に当てて裾を引く奈那の姿が。
「食堂に向かうだろうからこの辺に居るのかな?って思ったら本当に居た…」
クソっ……
またその笑顔に持ってかれる……
頼むから俺以外に見せんなよ、
遠目に見てる周りも一斉にグギづけだよ。
奈那が笑うとそこだけ花が咲いたみたいに視線を外せなくなる。
だから他の野郎どもに絶対見せたくないんだ。
二人に急かせれ事情を話すと二つ返事にOKが出た。
「チカとマキにも声かけとくね〜」
「あざーす!」

