触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「ヒロくん、奈那のこと好きでしょ?」




やっぱ奈那の友達にはバレバレみたいだ。
俺たちが義理の関係だということは知られている。




「うーん、腹出して寝てる姿見てるとねぇ……」




勿論ウソだけど面白いくらい奈那は思った通りのリアクションしてくれて笑える。




「そんなことしてない…!適当なこと言わないでよ…!」




「顔は可愛いんですけどね?そういうの見ると萎えるんですよね〜」




「ちょっとヒロ…!」




「痛い、痛いって」




また始まったとばかりに見慣れた光景。
「お前だけズルい」って純太らは言う。
奈那は皆の憧れだから。
稀に見る美少女、なんだって。
そりゃ俺も一目惚れするわけだ。




「じゃあね」




1年生と3年生だから校舎は違う。
アイコンタクトで奈那にバイバイしたらチカさんが俺の元にやって来た。




「絶対奈那も好きだろうから早く手打ちなよ?彼氏作んない理由、ヒロくんだから」




そう言ってくれるのは嬉しいんだけどね。
家での奈那に何度もアプローチするけどいつも困った顔される。
その度に足が竦むんだよ。
急に怖くなって、今まで通りでいいやってなる。




何だよ………ヘタレって言いたいか?




友達と歩いてく後ろ姿をしばし見つめる。




「お前も大変だな」ってお見通しな宏介。
「ひとつ屋根の下でよく耐えてるよな」ってやっぱりバカな純太。
姉弟って関係が先に進めなくする。
わかってる。
これ以上望んだってお互い傷付けるだけなんだって。




俺は俺なりに大切に想うしかないんだよな。
遠くからあの眩しい笑顔を見守ることしかしちゃいけないんだ。
本当の気持ちは隠し通さなきゃダメなんだって言い聞かせてるから。