ちなみに涼子さんもそこを卒業してる。
なのに何で親父なんかと。
一応商社勤めだけど本当、涼子さんと釣り合ってるのか疑問だし。
ま、息子の前で遠慮なくラブラブされるのは勘弁だな。




でも、そうなると春には………




「合格すれば嬉しいが……寂しくなるな」と親父が漏らす。




そう………N大に合格すれば看護学科は特別カリキュラムのため寮生活になる。
ここを出て行くんだ。
離れ離れになるのは避けられない。




全てを見越して全部自分でちゃんと決めて俺たちに進学先を話した時の奈那は真剣そのものだった。
だから何も反論せずに応援するしかないって思ったんだ。
めちゃくちゃ寂しいじゃん…って心では思ってたけど言える空気じゃなかったし、何より奈那自身が前を向いていたから。




奈那のナース服とか……すぐヨコシマなことを考えてしまう自分が情けなくて隣に並んじゃいけない気がしてた時期もあったな。
少し距離を置いたけど結局、奈那への想いは隠し通せなくてやめた。
あの笑顔が見れなくなるのは結構キツいんだって思い知ったのもあるよな。




ピロリン♪と携帯が鳴り、奈那からのメッセージ。




同じ屋根の下に居るのにこうしたやり取りがすげぇ幸せに感じる。
さっき撮った写真、早速アルバムにしてる。
口元緩みながら見てたら最後に撮った普通のツーショットがないのに気付く。
あれ?撮ったよな?




そう思った矢先にそれだけの写真が送られてきた。
その後にメッセージ。
(このヒロ、めちゃいい顔♡)
キャラクターのおやすみスタンプで終わり。
俺もすかさずおやすみスタンプ。




そっか………俺、奈那と居るとこんな笑顔してんだ?
桜井さんとの写真と見比べると全然違う。
タイミングもあるだろうけど、果たして俺は桜井さんと居る時にこんなリラックスした表情してるのか…?




プッと吹き出した。




ヤベ、そりゃ周りにバレバレなはずだわ。
バレてないつもりで居たのに即バレだった理由がやっとわかったよ。




なんか俺、めちゃくちゃ奈那のこと好きだわ。
完全に開き直りたい気分。
笑い……止まんねぇ。




あ〜俺……救いようのないバカだな。