沈黙の歌姫


『結歌は緘黙症ってやつで、人前で話せないんだ』


さっきまでふざけてたみんなも真剣な顔で聞いてくれている


『お前らは大丈夫だろうが、分かってやってくれ。それと、万が一何か起こってしまったら、叫んで助けを呼ぶことも出来ない。だから、何が起きる前に全力で守って欲しい』


そうか、私が姫になるのは普通よりも大変なんだ…。


申し訳ない…。

俯いていた顔をあげると、


「あったりまえじゃん」


「姫だろ??だったら、誰であってもそうだろ」


「任せとけ」

そう次々と口にする。


海音に始まり狼義のみんなは、昨日から話せない私を受け入れてくれて、本当に嬉しい。


「じゃあ、よろしくな」

「よろしくー」

「よろしくねー」

「よろーー!」

「よろしく」


笑顔でそう言ってくれるみんな、思わず嬉し泣きしそうになりがら、よろしくって返す気持ちでペコッとした