私はお母さんの仏壇の前で手を合わせるのではなく、胸に手を当てて、優しく笑う写真の母を見つめた




お母さん、私、海音を信じる。
頑張って生きるから、見ててね?




“頑張れ”



どこかからそう聞こえた気がした。




家を出るとそこには行きにも乗ってきたタクシーが止まっていて、その前で海音が待っていた。



『おいで』



そう言って差し出された彼の手を取ってタクシーに乗り込んだ。


お母さん行ってきます!


これで本当に私の新しい生活が始まった。