沈黙の歌姫


準備室に戻ると一希に呼び止められた。


「海音、分かったぞ」


『何があった?』





「7年前の夏に母親を病気で亡くしてる。それから父親に暴力を振るわれてたみたいだ。」



『そうか…』


なんとなく察していたが実際聞くとやはり辛い



「中学でも相当虐められてたみたいだぞ。」






「なぁ海音?」

より一層真剣な顔の一希が俺を呼ぶ。



『ん?』


「お前この子に惚れたんだろ?だったら、隠し事しないで、しっかり向き合ってやれよ。」


『おう。サンキュ』


一希だって辛い経験してきたから分かるんだ。


狼義にいる奴らは、重かれ軽かれそんな奴ばかりだ。


だから、結歌にもみんなに会って欲しい。1人じゃないって、信じられるんだって感じて欲しい。


『一希、俺結歌のこと姫にするから』


「知ってる」


そう言ってまたパソコンに向かう一希。

かっこいい奴だな。


『結歌の話、幹部には先に話しておきたいから、放課後集まるように伝えといてくれ』


「はいはい」