沈黙の歌姫


昼休み。


柚斗と晃輔(こうすけ)とバスケをしていた。



『あ、そういや柚斗、宮澤結歌って知ってるか?』



「あー去年同じクラスだったけど。宮澤結歌がどうかしたん?」



『昨日…』



説明しようとしたとき

ガラッ…


体育館のドアが開いた音がして振り返ると、結歌が立っていた。



『結歌どうした?』

俺はすぐに結歌に駆け寄って尋ねた。



視線は俺の後ろの2人に向く。

こいつらがいたらダメなのか。そう気づいて



『お前ら悪ぃけど、準備室戻ってくれ』


と、声をかけた。



あいつらはニヤニヤしながら

「ごゆっくりー」
だのなんだの言ってるけど、無視。




『それで?どうした?』


結歌は左側の壁を指さす。

そこには落書きがされているが、この学校じゃ珍しいことではない。

どうせこんなくだらないことするのは、イキった奴らだ。