『俺もやってやるよ』
そう言う彼に私は全力で首を振った。
彼を巻き込んではいけない。私と一緒にいるところを見られたら…。
『これお前がやったのか?』
違う…。でも、私がやったと言えばきっと彼は幻滅して出ていくだろう。それに愛梨らのせいだとバレたらめんどくさいことになるに決まってる。
だから、小さく頷いた。
『嘘つくの下手だな。早くしろ』
えっ……?
彼はもう消し始めている。
嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでどうしようもなくて、私も雑巾を手に取った。
昼休みはたったの30分。でも、力の強い彼のおかげで昨日の3時間と同じくらい進んだ。
片付けを終え昨日のようにペコッとお辞儀をすると
『またな』
“またな” その言葉が嬉しかった
