1度そのジャージに視線を落とした野崎さんは、


受け取ることなく教室を飛び出してしまった。


行き場を失ったジャージと水浸しの床


つまんな。と、バラけていく

助けたいだけなのに、どうしたらいいのか分からない。


海音だったら、もっと強引に助けようとするだろう。

私にそこまでの勇気はない。

ちょっとだけ振り絞った、勇気はまだまだ足りなくて


自己嫌悪に陥りながら、床を拭いた。

珍しく早く来ていた同じクラスの狼義のメンバー、田山 健永(たやま けんと)が手伝ってくれた。


その日野崎さんが、教室に戻ってくることは無かった。