校門で湊と別れて教室に向かう


千果いるかなーって思ってD組を覗いてみたけど、まだ来てないみたいだった。


久しぶりにホームルーム前に準備室に行かずに教室で過ごす。


教室の騒がしさは変わらないが、

4ヶ月くらい前とは比べ物にならないほど平穏に過ごす、私は。


「野崎なんで制服着てねぇんだよ!」

「あなたたちが盗んだんでしょ…」


バッシャーン…


冷たっ!

水が足にはねてきて、振り返ると


「あっ宮澤さんごめんね!」

気持ち悪いくらいの笑顔で愛梨が言う。


奥には水浸しになったジャージ姿の野崎さんがいた。


「何ふざけたこと言ってんだよ」

愛梨からの言葉に


目に涙を浮かべ、こちらを睨むような目で見つめている。


その視線は愛梨…ではなく、私に向けられている気がした。


なるべく関わらないように。

そんな最低な気持ちで避けてきたけれど、


今はほっとくことが出来ない。


野崎さんに近づいて自分のジャージを差し出した。