【いや、大好き。】


振動したケータイに届いた文面は、俺が求めていた以上の返答で、


抱きしめない訳にはいかなかった。


『ねぇ結歌。キス…していい?』


腕のなかで振り返った彼女の瞳は

出会った頃とは違っていて、

光を持った瞳だった



俺の目を真っ直ぐと見つめるその瞳に

引き寄せられるように

キスをした。


ほんの一瞬だけど、
感じたことも無いくらい甘くて、
感じたことも無いくらい幸せだった。


でも、幸せを感じると同時に、それを失う不安に駆られた。


1度は幸せを失った俺のトラウマなのかもしれない。


『結歌。お願いだから。もう1人でどこかへ行かないで。俺から離れようとしないで。』


今日の原因は俺だから、自分勝手なことを言ってると思われてもしょうがない


それなのに結歌は
まるで

“大丈夫だよ”

と、でも言うように強く抱きしめてくれた。