10分ほど走ったあと、私はいつもの公園に着いた。
父に殴られた後、毎日来る場所。
幼いころ、母によく連れてきてもらった公園。
住宅地からすこし外れたこの場所は、昼間は子供たちの笑顔で溢れているが、夜は静寂に包まれている。
今日はいつもより少しだけ早い。
まだ少しだけ残っている夕日が完全に落ちきるまでベンチでスマホを眺めていると、この辺りに住んでいる野良犬がやってきた。
毎日のように来る私に懐いたこの子は、私の膝に頭を擦り付ける。
“大丈夫”と慰めるように
犬はすごい。言葉なんか無くても全部分かるんだ。
人はなぜ言葉という凶器を生み出してしまったのだろう。
