沈黙の歌姫


『待たせてごめん』


隣の席に海音が乗り込む。


『匠哉さんお願いします』


匠哉さんと呼ばれた彼は無言の目配せをして車を走らせた


『結歌シートベルトしてちゃんと捕まってて』


私たちが乗る車を先頭にバイクが次々と走る


鳴り響くバイクのエンジン音。チカチカ光る夜の道路。


今まで遠くから音を聞いたことくらいしか無かったけれど、その場から見るとこんなにも迫力があるのかと感心してしまう。


周りをみると幹部のみんなが車を囲って走っている


生き生きとした表情で凄く楽しそう。


海音は隣で指揮を執っている


これも総長の役割なのか


カッコイイ。


総長のときの海音を初めて目の前でみて、ついつい見とれてしまった。