「俺の気持ちが迷惑なら、この関係は……」

そう言葉を続けようとする千夏の口を手で塞ぐ。ヤダ、別れるなんて絶対にありえない!!

「あたし、千夏のことが好きになったみたい。自分勝手なあたしでもいいの?」

「うん、何が何でも夏未がいいんだ」

千夏は笑って、あたしを抱きしめてくれた。あたしもその背中に腕を回す。漁師らしくたくましい体だ。あんな痩せてた小さい頃が嘘みたい。

温もりが愛おしくて、胸が高鳴っていく。東京にいた頃は疲れ果てて感じなかった鼓動だ。嬉しくて、幸せで、涙がこぼれていく。

それから、手をつないで花火を見続けた。特別な会話がなくても、手の温もりがあればいい。

赤や青、黄色に白など様々な色の花火を見つめ続ける。もうこの手を離さない。あたしの隣は千夏の隣なんだ。

「……綺麗だよ、夏未」

花火の音の中、千夏の声が耳に届く。あたしはくるりと千夏の方を見た。互いの想いがやっと通じ合ったから、照れくさい。

「お前の横顔、しっかり焼き付けるから。すげえ綺麗で、花火よりお前のこと見ていたいから」