お兄ちゃんへ

あとのことは任せろと言うお兄ちゃんに促されて、私はそのまま歩いて学校に向かった。

事故が起きた場所は学校のすぐ近くだったから、遅刻することもなかった。


職員室につくと二人の男性に迎えられた。

年配の男性と、背の高い20代後半くらいの男性だ。


年配の男性のほうは教頭先生で、少し前に学校に来たとき挨拶を済ませている。



「こちら、副担任の横沢先生です。あとのことは先生に聞いてください。じゃあ先生、急だけどよろしくね」


「分かりました」


そう返事をして、私を見て微笑む横沢先生は、目が笑っていない神経質そうな人で苦手なタイプだった。



「それじゃ行こうか」



教室まで案内されている途中で、何人もの女子生徒が横沢先生を見つけては色めき立っていた。


人気があるらしい。


カッコいいという声がため息まじりに聞こえた。

確かに、彫刻で彫ったような整った顔立ちをしている。


それがさっき神経質そうに感じてしまった理由なのかもしれない。

何を考えているのか分からない、隙のない冷たい感じ。