お兄ちゃんへ

今の私には美味しいご飯を作ってあげることしかできないや…



「今日の晩ご飯は何がいい?」



そう言いかけたとき、ドンッという音とともに体が前に飛び出そうになった。

突然にことにビックリして血の気が引いた。

お兄ちゃんは大丈夫だろうかと思った瞬間、私を心配する声がした。



「まこと怪我ないか!?」


肩に手を乗せ覗き込んでくるお兄ちゃんに、うなずきながら声を絞った。



「うん…お兄ちゃんは?」


「俺も何ともない」


「よかった…」



ほっとして振り返ると、後ろからぶつかってきたであろう車が見えた。

雨が降っているせいで、中の人の様子は確認できない。

出てくる気配はない。