「保健委員になりたい人は挙手してくださーい!」
中学校に入学して間もないまま、今さっき決まった委員長が仕切る。
絶対に入りたいわけでもなかったが、とりあえず何かに入りたかった私は咄嗟に手を挙げた。
「女子は加納さんで、男子は佐藤くんでいいですか?…………大丈夫そうなので次行きまーす。えーと次は、環境委員になりたい人いますか?」
ふぅ、決まって良かったぁ!それにしても、男子の佐藤くん??って誰なんだろう。優しい人だったら良いな!
初めての委員会があるまで、私はその思いですごくわくわくしていた。


ー委員会当日ー
席は学年、クラスごとなので、私たち1年B組は1番右の列の真ん中だ。隣に座るのはもちろん佐藤くん。
「さ、佐藤くん!加納るあです。お月様の月に愛って書いて月愛って読みます。よろしくね?」
人見知りの私にしては上出来な話しかけ方だと思った。そしたら佐藤くんは
「よろしくね」
と言ってニッコリ笑ってくれた。
無事に自己紹介をしたところで丁度委員会が始まった。
委員会では、ノートに話した内容を記録することになっている。今回は私がノートをとる番だったので取っていたら、文字を間違えてしまい、消しゴムをどこかに落としてしまったことに気がついた。
「佐藤くん。本当にごめん!消しゴム借りても良いかな」
「あ、良いよ!」
借りた消しゴムで消そうとしたら、ちぎれてしまった。
佐藤くんは全然大丈夫だよって言ってくれたけど、やっぱり申し訳ないので次の日にお礼の手紙と一緒に新しい消しゴムも添えて渡したら喜んで受け取ってくれた。
これが私と光樹との最初だった。