そして、私がこの街に戻って二年後のこと。その日も、今日みたいに桜が咲いていた。

私は散歩がてら、桜を見に来ていた。ふわり、ふわりと花びらが舞う。その美しい光景に心を奪われ、永遠のように眺めていた。

「春香……？」

桜を眺めていた私に、誰かが声をかける。知らない低めの声。声のした方を見れば、知らない男性がいた。

「僕、春希だよ！覚えてない？」

「えっ……！？春希、くん？」

偶然なのか運命なのか、再会した春希くんはやっぱり大人っぽくなっていて、小学生の頃とは見た目が変わっていた。背も高くなって、顔立ちも華やかさを増していて……。

「約束、守ってくれたんだね」

フニャリと嬉しそうに、春希くんは笑う。その目から透明な涙がこぼれ落ちていった。

「ただいま」

私も、笑った。何年も会っていなかったのに、ぎこちなさなんてどこにもなかった。

春希くんの住所を教えてもらって、連絡先も交換した。春希くんは、有名なレストランでシェフとして働いている。私に何度もご飯を作ってくれた。