香りさんはわたしの姿をみて、あたふたしながら言った。

「そんなにシュンとしないでいいから、多分、わたしは即死だったし」

「そんなこと聞いてもこの沈んだ気持ちが余計に沈みますよ」

香りさんはクスクス笑った。幽霊なのに可愛いと思った。さっきまで怖かったのに、わたしも今は幽体だから麻痺してるのかな?そんなことよりもわたしは戻れるの?

「香りさん、わたしは体に戻れるんでしょうか?」

香りさんはわたしの本体に近寄って、医療機器をチェックする。

「香りさんは病院関係の人ですか?」

「えっ、全然違うけど」

医療機器なんかチェックするからそうかと思い期待したじゃない。紛らわしいなぁ。

「でも、医療関係じゃないけど、千鳥ちゃんは戻れると思う、外傷もたいしてないし、機器も正常な気がするし、逆になんで幽体離脱してるのか不思議なくらい。」

そんなぁ、これで戻れなかったら笑えないくらい運が悪いじゃない。わたしそんなに悪いことしてないですよー神様。