黒川さんはわたしたちにお茶を差し出しすと同時に用紙を差し出した。入部届けだとすぐにわかった。

「いいよね」と、黒川さんは当たり前のように言うけれど、いいよねの一言で片付けられるのもしゃくだな。

誰も入部届けにサインしようとしない。その様子を見て黒川さんは両手を広げ呆れたポーズをとる。

「香りさんの成仏が終わるまでは、この部室を使うんだから、仮入部でもいいから入部してほしい」

よし、仮ならと、わたしは入部届けにサインを始めた。それを見て姫ちゃんもサインを始める。姫ちゃんまでサインをしはじめたので、早見君 も仕方なくといった感じでサインをした。

黒川さんはサインの終わった入部届けをすぐに回収して、一息ついた。絶対、この入部届けを昨日のうちに用意したにちがいない。なかなか黒川さんってしたたかなのかも?と思った。